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コラム

ADRをめぐる最近の動向とJIPAC

 仲裁・調停という裁判外紛争解決手段(ADR)は、実は、わが国ではあまり活用されているとはいえません。わが日本知的財産仲裁センター(JIPAC)も例外ではありません。

 

ところが、世界では、近年、ADRの隆盛には目を見張るものがあります。そこで、わが国も遅れてはならじとばかりに官民あげてその活性化への取り組みがなされています。

 その一環として、JIPACも参画している日本国際紛争解決センター(JIDRC)大阪が今年の5月1日に業務を開始し、京都国際調停センター(JIMC-Kyoto)や東京国際知的財産仲裁センター(IACT)もまもなくオープンします。

 ADRには裁判に比べて簡易・迅速・柔軟な手続きなど種々の利点があり、わが国でももっと活用されてしかるべきであるにもかかわらず、そうなっていない現状の一因としてあまり知られていないことが指摘されています。

 これらの取り組みによってADRが広く知られるようになり、わがJIPACも含めてその利用促進が図られることが望まれます。

 ところで、知財のADRについてはJIPACのほかにIACTが設けられることになりますが、これはどう考えたらよいのでしょうか。

 IACTは、パテントプールの標準必須特許(SEP)をめぐる国際紛争の仲裁による解決に注力しており、わがJIPACとはやや方向を異にしているようです。

 JIPACは、本Websiteに掲載しているように、知財に関する紛争の「仲裁」・「調停」による解決のみならず、紛争の未然防止に役立つものも含めて下記種々のサービスを提供しています。

  • 知的財産紛争に関連する「相談」
  • 特許等の有効・無効および侵害の成否についての鑑定意見を提示する「センター判定」
  • 各特許がパテントプールのSEPに該当するかを判定する「センター必須判定」
  • 事業遂行に伴う特許紛争リスク等の法的側面に関する専門的見解を提供する「事業適合性判定」
  • 事業に対する各特許の貢献度を評価する「貢献度評価」
  • JPドメイン名に関する紛争を処理する「JPドメイン名紛争処理」

 まさに昨秋から使用している「知財ひろば」の愛称のとおり、JIPACは、知財に関する幅広いサービスを提供するワンストップの「ひろば」なのです。

日本知的財産仲裁センター

センター長(2018年4月より) 佐藤 祐介

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