裁定の申立
裁定の申立
- JPドメイン名紛争(JPドメイン名の登録と使用から発生するドメイン名登録者と第三者との間のドメイン名に係る紛争)について、センターに対し、どのような申立てができますか?
- JPドメイン名の紛争の対象である、登録されているドメイン名が、第三者が権利または正当な利益を有する商標その他表示と同一または混同を引き起こすほど類似している場合で、登録者が、当該ドメイン名の登録についての権利または正当な利益を有しておらず、登録者の当該ドメイン名が、不正の目的で登録または使用されているときには、JPドメイン名登録の移転または取消の裁定を求める申立てができます。
申立の種類
- センターに、comや.orgなど、JPドメイン名以外のドメイン名登録について、裁定を求める申立てができますか?
- センターでは、JPドメイン名以外のドメイン名登録については裁定を求める申立の対象にしていません。JPドメイン名以外のドメイン名登録については、センターとは別のWIPO、NAF、CAC、ADNDRC、ACDR、CIIDRCという認定紛争処理機関で裁定を求める申立てができます。詳しくは各機関にお問い合わせ下さい。
書面等の提出方法
- センターに対し、JPドメイン名紛争処理の申立書や答弁書と他の関連書類を提出するに際し、書面を印刷して提出する必要がありますか?
- 当事者は、申立書や答弁書についてはWordファイルとPDFファイルを、証拠等の関連書類についてはPDFファイルを、センターが指定するオンラインストレージにアップロードすることにより、提出を行い、提出した旨を電子メールでセンター事務局に通知することになりますので、書面を印刷して提出する必要はありません。なお、申立を予定している方は、申立に先立ち、「JPドメイン名紛争処理手続利用申込の件」についての電子メールをセンター事務局(※スパム対策として、画像にしています。宛先に入力して送信してください。)に送信して下さい。
申立の費用納付期限
- JPドメイン名紛争処理の申立てに料金の支払いが必要であると思いますが、いつまでに支払えばよいのですか?
- センターが申立書を受領した後10営業日以内にセンターに対し支払ってください。支払いがない場合は、センターがやむを得ないと認めたときを除いて、申立てが取下げられたものとみなされ、手続は終了してしまいます。
申立の件数
- センターに対する複数のJPドメイン名登録についての裁定を求める申立を、一つの申立書によって行うことができますか?
- 複数のドメイン名登録が同一の登録者による登録であれば可能です。なお、同一申立書において対象となるドメイン名が4件以上の場合は、手数料が加算されます。
外国人による申立
- センターに対し、JPドメイン名登録について外国に住所を有する外国人でも裁定を求める申立てができますか?また、その申立ての手続には、外国語を使用することができますか?
- JPドメイン紛争処理手続については外国に住所を有する外国人の場合も申立てができます。また、申立ての手続に使用できる言語は、原則として日本語です。ただし、JPドメイン名を登録できるのは、「日本国内に住所を持つ組織・個人・団体」で、JPドメインの種類によって登録できる組織等も異なりますので、JPドメインの移転による登録の可否の詳細については、登録機関(JPRS)に問い合わせて下さい。
書証の添付
- JPドメイン名紛争処理における申立書や答弁書とともに書証を提出する場合、その書証の原本を提出する必要はないのですか?
- 証拠書類はPDFファイルにより提出することになりますので、原本をセンターに提出する必要はありません。ただし、書類の真正が争われる場合に、センターが原本の提出を求めることはあります。
パネルの選定
パネルの指定
- パネルの指名はどのように行われるのですか?
- 両当事者のいずれか(申立人またはJPドメイン名登録者)が3名構成のパネルを選択した場合、原則として、両当事者がセンターのパネリスト名簿からそれぞれ3名の候補者を選び、その中から各1名のパネリストをセンターが指名します。残り1名は主任パネリストとしてセンターが指名します。両当事者(申立人及びJPドメイン名登録者)が3名構成のパネルを選択しなかった場合、センターがセンターのパネリスト名簿から1名のパネリストを指名します。
パネリスト
- センターのパネルを構成するパネリストの候補者名簿には、どのような人がリストされていますか?
- 知的財産権について経験豊かな弁護士、弁理士及び学識経験者がリストされています。センターのウェブサイトに掲載している「パネリスト候補者名簿」を、ご参照ください。
パネリストの変更
- 手続中に、センターが指名したパネリストに代えて、他のパネリストを指名することはありますか?
- センターが指名したパネリストに、公平性及び独立性について何らかの疑念が指摘された場合、事実関係を調査した上で、必要に応じて、センターにより代わりのパネリストを指名することがあります。なお、センターが指名したパネリストに公平性及び独立性について疑念があると考えられる場合、センター事務局までご連絡ください。
パネリストの公平性・独立性
- パネリストの公平性及び独立性は確保されていますか?
- センターは、パネリストの指名に当り、パネリストに公正・独立・中立であることの言明書の提出を求め、公平性及び独立性に最大の注意を払っており、公平性及び独立性は十分に確保されています。公平性と独立性について何らかの疑念がある場合は、代わりのパネリストを指名することができるようになっています。
パネルの裁定
- パネルは、何に基づいて裁定を行うのですか?
- パネルは、提出された申立書及び答弁書等の陳述・書類及び例外的な場合に限り行われる審問の結果に基づき裁定を行います。パネルは、その裁量により、いずれの当事者に対しても、申立書及び答弁書以外に、陳述・書類の追加を求めることがあります。
JPドメイン名紛争処理手続
出頭
- 日本知的財産仲裁センターに出頭する必要がありますか?
- ありません。ドメイン名紛争処理は、原則として(電子的な)書面に基づいて処理されますので、申立人、登録者ともに出頭する必要はありません。
裁定が出されるまでの期間、答弁書の提出期限延長、和解による中断と終了
- 申立を行ってから裁定が出されるまでにどの位の期間がかかりますか?その期間が延びる場合はありますか?
- 申立書の受領から原則として57営業日以内に裁定を行います。つまり、申立から裁定までの期間は、土日祝日その他センターが定める休日を含めると2ヶ月強になります。
ただし、登録者から答弁書の提出期限延長を求める上申があれば、答弁書の提出期限は自動的に4日(営業日)延長されることになり、例外的な事件に限って、さらにその答弁書の提出期限が延長されることがあります(手続規則5条(d))。
また、当事者は、和解協議中であることを理由に、JPドメイン名紛争処理手続の中断を求める上申書をセンターに提出することができます。パネルの裁定前に両当事者が和解に達したら、当事者間の和解契約の要旨(書式(Wordファイル)は以下からダウンロードできます。)を本センターに提出することが必要になります(手続規則17条(b)、補則12条)。
ダウンロード
答弁書の不提出
- JPドメイン名登録者が答弁書を提出しなかった場合、どのように手続は進行することになるのですか?
- 登録者が答弁書を提出しないとき、例外的な事情がない限り、パネルは、申立書に基づいて裁定を行いますが(手続規則5条(f))、登録者が全部自認したものと扱うわけではありません。なお、答弁書が提出されなかったことは、裁定の「手続の経緯」において記載されます。裁定文は、JPNICのウェブサイトで公表されており、センターのウェブサイトの事件・裁定一覧のページからリンクしています。
書類の提出回数
- 申立書及び答弁書を提出するとき以外に、追加的な陳述・書類を提出する機会はあるのですか?
- パネルが陳述・書類の追加を求めるとき以外は、追加的な陳述・書類の提出を認めておりません(手続規則第12条)。
裁判との関係
JPドメイン名紛争処理と訴訟の相違
- 裁判所におけるドメイン名紛争に関する訴訟とセンターにおけるJPドメイン名紛争処理には、どのような違いがありますか?
- ドメイン名登録者に対して裁判所に申し立てることができるのは、通常、不正競争防止法に基づく使用差止請求です。しかし、ドメイン名の登録取消や移転を行うことについては、法律上の根拠がありません。「JPドメイン名紛争処理方針」および「JPドメイン名紛争処理方針のための手続規則」に従って、センターに取消または移転の旨の裁定の申立てをする必要があります。センターに申立があった場合、センターは、その申立についての手続の開始や裁定結果を登録機関である(株)日本レジストリサービス(JPRS)に対して逐次連絡します。JPドメイン名紛争処理手続の係属中または終結から15営業日までの間、JPRSはドメイン名の移転を制限します。
JPドメイン名紛争処理と訴訟における判断基準
- JPドメイン名紛争処理におけるセンターの裁定と裁判は同じ基準によって判断がされるのですか? 判断基準が同じでないとすると,その違いは何ですか?
- 裁判では、不正競争防止法等の法律に基づく判断がされるのに対し、JPドメイン名紛争処理におけるセンターの裁定では、「JPドメイン紛争処理方針(JP-DRP)」に基づく判断がされますので、両者の判断基準は同じではありません。JPドメイン名紛争処理におけるセンターの裁定は、原則として申立書と答弁書及びそれと共に提出された書証のみに基づいて、約2ヶ月の短期間で判断がなされますので、申立人が最初から十分な証拠を揃えて提出しないと、証明不十分として、申立てが認められない可能性があることにも留意して下さい。
裁定と裁判所の判決との関係
- JPドメイン名紛争処理におけるセンターの裁定と裁判所の判決とはどういう関係にありますか?
- 両者に直接的な関係はありません。センターでJPドメイン名の取消や移転の裁定があった後10営業日以内に登録者が裁判所に出訴したときは、裁定の実施が見送られますが、それは登録機関である(株)日本レジストリサービス(JPRS)が「JPドメイン紛争処理方針(JP-DRP)」に従って見送るものであり、センターが関与する処理ではありません。
訴えの提起
- ドメイン名取消や移転の裁定に不満がある場合、ドメイン名登録者は、どのような訴えを裁判所に起こすべきでしょうか?
- 「JPドメイン紛争処理方針(JP-DRP)」には、どのような訴えとすべきかの定めはなく、登録者の判断に委ねられています。これまでの例では、登録ドメイン名使用権確認請求やドメイン名使用差止請求権不存在確認請求などの訴えが提起されています。
再度の申立
- 移転を求める申立てが裁定で認められず、その後、登録者に対するドメイン名使用差止請求訴訟で勝訴した場合、改めて、移転を求める申立をしなければならないのでしょうか?
- 現行の「JPドメイン紛争処理方針(JP-DRP)」では、裁定を経ない移転は予定していませんので、再度の移転を求める申立てが必要です。
その他
法律相談
- JPドメイン名紛争に関する法律相談は受け付けてもらえますか?
- 相談業務において受け付けています。センター事務局にお問合せください。
裁定の実施予定日
- 裁定がなされた事件の中で、実施予定日を過ぎても裁定の実施がなされていないものがありますが、提訴されたのですか?
- 裁定の実施は登録機関である(株)日本レジストリサービス(JPRS)が行いますので、JPRSに問い合わせて下さい(下記参照)。
移転申立
- 自社の商標と類似のドメイン名があるので、移転申立をしようと思いますが、登録者の住所、氏名(社名)はどうしたら判りますか?
- センターでは調べられませんので、JPドメイン名の登録機関である(株)日本レジストリサービス(JPRS)が運営するWHOISのサービス(https://whois.jprs.jp/)によって確認して下さい。
移転手続における準備
- JPドメイン名紛争で移転裁定後出訴がなく移転手続に移る場合に、申立人が用意すべき情報はどんなものか教えて下さい。
- 登録機関である(株)日本レジストリサービス(JPRS)にお問い合わせ下さい(下記参照)。
取材、講師派遣
- ドメイン名紛争に関する取材や講師派遣の依頼をしたい場合はどうしたらいいですか?
- センター事務局にご連絡下さい。
パネリスト・事件管理者の研鑚
- パネリスト候補者、事件管理者の研鑚はどのように行われていますか?
- センターは、定期的にJPドメイン名紛争処理について研修会を開催しています。
JPドメイン名登録機関
名称:株式会社日本レジストリサービス(JPRS)
住所:〒101-0065東京都千代田区西神田3-8-1 千代田ファーストビル東館13F
TEL:03-5215-8451(代表番号)FAX:03-5215-8452 URL:http://jprs.co.jp/